COLUMN
お役立ちコラム
2019.09.19
リードブレーン株式会社
テーマ:
【コラム】関係者から定款を閲覧したいと言われた場合は?
関係者から定款を閲覧したいといわれた場合は?
事例
会社成立前に、募集株式引受人から定款の閲覧を求められました。どのように対応するべきでしょうか。
ポイント
実務解説
設立時募集株式の引受人から、発起人が定めた時間内に定款の閲覧請求があった場合にはこれに応じなければなりません。なお、募集株式引受人から定款の謄本又は抄本の交付請求があった場合には、費用の支払と引換えに応じる必要があります。
会社成立前における定款の備置等
発起人は、定款を発起人が定めた場所(発起人が複数いる場合は発起人の多数決で決します(民670①)。なお、発起人間の合意は「発起人組合」と呼ばれます(江頭憲治郎『株式会社法』64頁(有斐閣、第4版、2011年))。)に備え置かなければなりません(会社31①.違反の場合の過料につき会社976八)。
また、各発起人は、発起人が定めた時間内はいつでも、①定款が書面で作成されているときは、当該書面の閲覧の請求、又は、当該書面の謄本若しくは抄本の交付請求(会社31②一・二)、②定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令(会社規226一)で定める方法により表示したものの閲覧の請求、又は、当該事項を電磁的方法であって発起人の定めたものにより提供することの請求若しくはその事項を記載した書面の交付の請求(会社31②三・四)をすることができます。ただし、書面の交付の請求又は電磁的記録に記録された事項の提供の請求をするためには、発起人の定めた費用を支払わなければなりません(会社31②ただし書)。定款の閲覧等請求権は、募集設立における設立時の募集株式引受人にも認められています(会社102①)。なお、正当な理由がないのに、定款の閲覧等を拒んだ場合、発起人は100万円以下の過料に処せられます(会社976四)。
株式会社成立後における定款の備置等
株式会社は、定款を本店及び支店に備え置かなければなりません(会社31①)。
ただし、定款が電磁的記録をもって作成されている場合で、会社が使用する電子計算機を電気通信回線で接続した電気情報処理組織を使用する方法により、支店の電子計算機端末で閲覧等に応じられる場合には、支店に定款を備え置く必要はありません(会社31④、会社規227一)。
株主及び債権者は、株式会社の営業時間内はいつでも、定款又は電磁的記録に記録された事項を閲覧でき(会社31②一・三)、定款の謄本若しくは抄本の交付又は電磁的記録に記録された事項の提供を請求できます(会社31②二・四)。また、株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要がある場合、裁判所の許可を得て閲覧等を請求できます(会社31③)。
なお、書面の交付等に当たっては株式会社が定めた費用を支払わなければなりません(会社31②・③)。
定款の閲覧請求権を持つ人の請求に関して、求められた側は原則拒否権を持ちません。そのため定款はさまざま人の目に触れる可能性があります。いつ閲覧されてもいいように、定期的に内容を確認し最新の状態にしておきましょう。