COLUMN
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2019.12.04
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【コラム】職場でありがちなトラブル事例
◇職場でありがちなトラブル事例
正社員・パート間をシャトル移動 会社不信で金銭補償要求
看護師のAさんは、正社員として病棟看護の仕事をしていました。入職から2年後に出産し、法律上の当然の権利として、産休・育休を取得しました。
ところが、その後、復職を申し出たところ、本人には何の説明もないまま、パートに身分変更されていました。
おかしいと感じたAさんは、都道府県労働局の雇用環境・均等部に相談に行きました。すると、再び会社から何の説明もないまま、正社員に復帰させる辞令が出ました。
正社員に戻っても、医院への不信感は消えません。最終的に、退職と金銭補償という方向で、紛争調整委員会の調停を申請しました。
〇従業員の言い分
当初、医院では「長期休業すれば、パート転換は当然」という態度だったのに、労働局から注意を受けると、手のひらを返すように、正社員復帰を認めました。
経営層・上司への信頼感が消滅した今となっては、復職の意思はなく、以下の損害賠償を要求します。
・紛争期間の給与(4カ月分) :115万円
・復職に当たっての保育所関連費用: 45万円
〇事業主の言い分
パートの身分変更は、育児に伴う負担を考慮して、暫定的に発令したものです。
医院側としては、マタハラ行為があったかのように非難されるのは心外です。
労働局の指導に従い、遅まきながらも正社員に復帰させるなど誠意も示しているのですから、これ以上の金銭要求には応じられません。
〇指導・助言の内容
労使間の感情的確執が深く、議論がかみ合うような状況ではなかったため、金銭的解決という方向で調整を図りました。双方とも早期解決を希望していたので、退職を前提としつつ、事案の内容に応じ相当と考えられる和解金額を提示しました。
〇結果
Aさんがあっせんの合意日付で退職し、医院が90万円を支払うという内容で、労使双方が合意しました。
事業者側は負担を考慮し判断したということですが、双方の同意が無く発令した事には問題がありますね。また今回のケース以外にもよくある内容が、「仕事の幅を狭められる」「希望しない職種、部署への移動」など様々あります。こういったトラブルを防ぐ為にも、休業前にお互いがよく話合い、休業中にも定期的に連絡を取り復帰後についても明確にしておくことが必要ですね。