COLUMN
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2019.04.17
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【コラム】職場でありがちなトラブル事例
◆職場でありがちなトラブル事例
経理不足金の賠償を要求 出納担当に全責任と主張
小規模企業では、出納の担当者が1人だけで、十分にチェック機能が働かないケースが往々にしてあります。
飲食店経営のA社では、売上げ不振から事業を閉鎖することになりましたが、収支を計算したところ10万円程度の不足金が発生しました。
このため、社長は金銭管理を担当していたBさんに全額の補填を要求しました。
Bさんはそもそも調理が主業務で、出納管理は専門ではありません。毎日の収支勘定にズサンな面があったことは認めましたが、
もちろん、売上げをごまかすようなことは行っていません。
「会社側の要求は正当なのか」と都道府県労働局長の助言・指導を求めました。
従業員の言い分
飲食店で働いていた数年間、売上金の収納・費用の支払い等の事務を行っていたのは事実です。
売上金はその日のうちに夜間金庫に預けていましたが、長い期間の間に、細かいミスが累積された可能性は否定できません。
しかし、日頃、社長は出納簿をみることもなく、ノーチェックの状態が続いていました。
そうしたなかで、不足金が発生した責任を全部、私に被せるのはどうかと思います。
事業主の言い分
Bさんが不正を行ったと疑うわけではありません。しかし、店舗閉鎖にあたって10万円の不足金が出た以上、うやむやに済ますわけには行きません。
金銭管理については全面的にBさん1人に任せてきたのだから、差額を支払わせるのは当然の理屈ではないでしょうか。
指導・助言の内容
従業員であっても、職務権限の範囲内で民事上の責任を負うという基本的な考え方は間違っていないけれど、
会社(事業主)の管理責任も問う必要があります。
事業主に対して、会社として適切なチェック体制の整備を怠りながら、全額の賠償を従業員に求めるのは適当ではないので、再考するよう求めました。
結果
助言を受け、社長は自分の管理上の落ち度を認め、損害賠償の要求を全面撤回しました。
このトラブルに関しては、どちらにも非がある部分はあるように思えますが、まず第一に体制が整わない状況に
対して誰も動かなかった事や自社の体制に関して無関心であった事が大きな原因の一つと考えられるように感じます。
特に出納に関しては重要な業務であることから、より慎重に行うべきです。