COLUMN
お役立ちコラム
2019.03.29
リードブレーン社会保険労務士法人
テーマ:
【コラム】職場でありがちなトラブル事例
◆職場でありがちなトラブル事例
保険証を期日までに未提出 いきなり減給制裁の対象に
健康保険の被保険者証の更新時期となったので、会社は掲示板にお知らせを出しました。
しかし、期限は2日後で、当然のことながら数人、告知に気づかずに提出を忘れた社員がいました。
会社はさらに期限を2日延ばすお知らせを掲示しましたが、たまたまAさんは年休を取っていたため、知る機会がありませんでした。
Aさんが年休明け(提出の期限日)に出社したところ、上司から被保険者証の提出を求められました。
「年休で知らなかった」と釈明しましたが、翌日、「減給制裁の処分を科す。併せて、始末書も出すように」と告げられました。
あまりに過酷な処分に、思い余ったAさんは都道府県労働局の助言・相談を受けることにしました。
従業員の言い分
保険証の未提出は、単純にお知らせに気づかなかった(2回目の掲示は年休でみることができなかった)ためです。
会社にもそう説明したのですが、「業務命令を無視するような態度を取った」と叱責を受けました。
提出が遅れたのは私のミスですが、最後は謝罪もしています。
それなのに、あまりに唐突な懲戒通告で、申し開きの機会すら与えられませんでした。
本社の決済も受けておらず、公平さを欠く処分なので、撤回を求めます。
事業所長の言い分
2回も告知を出したうえで、被保険証の提出を促したのに、「掲示板などみたことがない。自分には関係ない」と開き直られ、
まったく反省する様子がありませんでした。
これは正に、就業規則で定める「故意に業務の遂行を妨げ、業務上の指揮命令に違反する」行為です。
懲戒は当然の処分で、本社に伺いを立てるまでもないと考えます。
指導・助言の内容
被保険者証の提出を求めた際のAさんの受け答えについて、本人・事業所長の主張には大きな食い違いがあります。
減給という重い処分を科すにはその前提として事実関係の十分な調査が必要です。
仮に非違行為があったとしても、過去の処分例に照らして、量刑が適当か慎重な判断が求められると、会社側に対して再考を促しました。
結果
会社と事業所長が再調査し、検討した結果、懲戒処分を撤回し、その旨を掲示しました。
掲示時期や掲示方法に問題は無かったか。なども処分を下す前に考え直す必要もありますね。
会社の規模にもより告知方法も変わってくると思いますが伝える側も伝達方法には注意しましょう。