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2020.07.07

リードブレーン株式会社

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取締役会を設置・廃止する場合の手続きは?

以下のご質問をあるお客様から頂きました。

“当社は、非公開会社(株式譲渡制限会社)で従前から取締役会を置いていますが、小規模閉鎖会社で日頃から取締役間の意思疎通は十分になされており、改めて会議を開くまでもなく業務執行を行うことに支障はなく、員数合わせのための名目的な取締役もいるのが実情です。取締役会を置く意義はどこにあるのでしょうか。また、当社が取締役会を廃止する場合の手続にはどのようなことが必要となるのでしょうか。”

今日は取締役会を設置することの意義や、廃止する場合の手続きなどについて簡単に解説したいと思います。
 

取締役会設置の意義とは?

取締役会による業務執行手続の厳格化、監督がなされていることが取締役会設置会社の意義といえます。

 

取締役会設置の要否

取締役会は、業務執行の意思決定、代表取締役の選定・解職を行う権限を有し、取締役の職務執行の監督を行う機関です。公開会社、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社には設置が強制されますが(会社327①)、これら以外の株式会社では設置が強制されませんので、任意に設置し又は廃止することが可能です。取締役会の設置が、会社法上、強制される場合にせよ、任意の場合にせよ、定款において取締役会に関する規定が必要となります(会社326②)。取締役会が設置されていない場合には、株主総会が万能の機関となり(会社295①)、株主の権限が強化されます(会社303①・305①)。

 

取締役会廃止の手続きについて

 取締役会を廃止するには、株主総会において特別決議により取締役会を置く規定を削除する等、次のような定款変更の決議をすることが必要です(会社466・309②十一)。

(1)定款の「当会社は取締役会を設置する。」などの取締役会に関する規定を全て削除します。
(2)株式譲渡制限に関する承認機関について、「株式を譲渡により取得するには取締役会の承認を要する」旨の規定については、取締役会を「株主総会」とする変更をします。
(3)代表取締役について「取締役の決議により代表取締役を選定する。」旨の規定については、取締役会廃止後に代表取締役を設けるかどうかにより定款変更の内容が異なります。取締役会非設置会社では、各取締役が会社を代表し、業務を執行しますが、代表取締役を定めることもできます(会社348①・349①)。代表取締役は、①定款に特定の人物を定める、②定款に「取締役の互選により定める」との規定を設ける、③株主総会決議で定めるなどの選定方法がありますので(会社349③)、代表取締役を設けるならば、前記①ないし③の規定を定款に規定することになります。
(4)その他、取締役会に関連した規定につき、削除又は変更をします。


取締役会設置・廃止のポイントまとめ

現在取締役会を置くことに必要性を感じていない場合でも、今後どこかのタイミングで株式公開を考えた際は、再度取締役会を設置しなければいけません。また登録にはコストもかかりますので、廃止する際は熟考のうえ判断しましょう。

 

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