試用期間中に社会保険なしは違法?加入条件と入れてもらえない時の対処法
2026.05.31
リードブレーン株式会社
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試用期間中に社会保険なしは違法?加入条件と入れてもらえない時の対処法

「試用期間中だから社会保険には入れない」と入社のときにそう言われて、なんだかモヤモヤしていませんか?
入社して間もない時期、「試用期間中は社会保険なし」と説明されて不安になる人は少なくありません。
同期や友人と比べて「自分だけ損しているのでは?」「これって違法じゃないの?」と感じても、新人の立場では会社に直接聞きづらいものです。
結論から言うと、試用期間中であっても、社会保険は原則として「加入義務」があります。
加入条件を満たしているのに「なし」と言われている場合は、違法の可能性が高いと考えてよいでしょう。
安心して次の一歩を踏み出せるよう、この記事では根拠とともに丁寧に解説します。
- 「社会保険なし」が違法になるケースと、問題のないケースの線引き
- 自分が加入対象かどうか(雇用形態・勤務時間別の早見表つき)
- 入れてもらえないときに、どこへ相談し、どう動けばいいか
【結論】試用期間中でも社会保険は原則「加入義務」がある
「試用期間は“お試し”だから、社会保険はまだ入らなくていい」と思っているなら、その認識は危険です。
試用期間中でも社会保険は原則「加入義務」があります。
まずは、なぜ試用期間中でも加入が原則なのかを押さえましょう。
雇用契約の初日から加入が原則
社会保険の加入義務は、試用期間かどうかに関係なく発生します。
社会保険の加入義務が発生するのは、原則として入社した初日です。
正社員の場合、社会保険の適用開始(加入日)は入社日とされています。
ここでいう社会保険は、健康保険や厚生年金保険といった「狭義の社会保険」を指します。
さらに、加入条件を満たしていれば雇用保険や労災保険も対象に含まれます。
試用期間中であっても、法的要件を満たす場合は加入手続きを行うのが基本ルールです。
つまり、「本採用になってから加入」「試用期間が終わってから」という運用は、原則として認められていません。
「試用期間だから加入なし」は通用しない(適用除外ではない)
多くの人が誤解しがちなのが、「試用期間=社会保険の適用除外期間」という考え方です。
しかし、これは明確な間違いです。
試用期間はあくまで、企業が労働者の適性を見極めるための期間にすぎません。
試用期間は社会保険の適用除外を認めるものではないとされています。
正社員と同じ所定労働時間で働くなら、試用期間中でも健康保険・厚生年金・雇用保険のすべてに加入させる義務が生じます。
さらに重要なのは、加入は法律上の義務であり、本人の希望で外せるものではない点です。
社会保険の加入は法律で決められています。
そのため、従業員が加入を希望しなかったとしても、義務が免除されるわけではありません。
「自分は入りたくない」と思っても、原則として辞退はできない仕組みになっています。
知恵袋などでも「試用期間中は入れないと言われた」という相談が目立ちます。
しかし、多くは会社側の誤った運用、あるいは意図的な未加入である可能性があります。
“加入条件を満たさない場合”は例外
ただし、すべてのケースで加入義務があるわけではありません。
加入義務があるのは、本採用を前提とした試用期間中です。
すべての企業・働き方に加入義務があるわけではないので注意が必要です。
例外にあたる主なケースは次のとおりです。
- 勤務先が「強制適用事業所」でない場合:強制適用事業所に該当する場合は、試用期間中の社員も含め例外なく社会保険への加入が義務。そうでない事業所では扱いが異なる。
- 短時間労働者で加入条件を満たさない場合:パート・アルバイトなどで、勤務時間や月収が一定の基準に届かないケース。
「自分は例外に当たるのか、それとも本来は加入できるはずなのか」
この見極めが、違法かどうかを判断する出発点になります。
自分は加入対象?試用期間中の社会保険「加入条件」
正社員じゃない場合は対象になるのでしょうか?
加入条件は雇用形態と勤務先の規模で変わります。
正社員・フルタイムの場合(原則すべて対象)
正社員やフルタイムで働く場合は、話はシンプルです。
勤務先が法人など「強制適用事業所」であれば、試用期間中でも原則すべての社会保険に加入します。
加入のタイミングも明快で、正社員の場合、社会保険の適用開始(加入日)は入社日です。試用期間の有無は関係ありません。
なお、勤務先が加入義務を負うかどうかは事業所の形態次第です。
法人であれば従業員数にかかわらず社会保険への加入義務があります。
個人事業主であっても業種によって従業員が5人以上いれば加入義務があります。
つまり、株式会社などの法人に正社員として入った時点で、ほぼ確実に加入対象だと考えてよいでしょう。
パート・アルバイト・短時間労働者の場合
パート・アルバイト・契約社員・派遣などの短時間労働者は、判定が少し複雑です。
基本となる考え方は正社員に近い働き方なら対象です。
まず、正社員に近い時間働く人は従来どおり対象になります。
週の労働時間と月の労働日数が正社員の4分の3以上となる従業員が対象です。
条件を満たす場合、これまで通り社会保険への加入が義務付けられます。
4分の3未満の短時間労働者でも、2024年10月の改正で対象が大きく広がりました。
2024年10月から、社会保険の加入条件が変更されています。
「従業員数101人以上の企業であること」が「従業員数51人以上の企業であること」に変更。
規模が小さい企業に勤める人も加入対象になっています。
具体的には、次の5つの要件をすべて満たすと、短時間労働者でも社会保険(健康保険・厚生年金)の加入対象になります。
- 勤務先の厚生年金被保険者が51人以上(特定適用事業所)
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円(年収約106万円)以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
所定内賃金が8.8万円以上というのは、週給・日給・時給を月額に換算して判断します。
時間外・休日・深夜労働の割増賃金(残業代)は含めません。
賞与や精皆勤手当、通勤手当、家族手当なども除いて計算するのが原則です。
週20時間の数え方も「実際に働いた時間」ではなく契約上の時間です。
就業規則や雇用契約書で定められた時間数でカウントします。
繁忙期に一時的に残業して週20時間を超えたケースは対象とならないとされています。
50人以下の企業に勤務する短時間労働者は現行ルールどおり社会保険には加入できません。
ただしこれは「4分の3未満の短時間労働者」の話で、4分の3以上働いていれば50人以下の法人でも加入対象です。
【早見表】雇用形態 × 勤務時間 × 会社規模で加入可否がわかる
自分のケースを当てはめられるよう、健康保険・厚生年金の加入可否を整理しました。
試用期間中でも判定基準は同じです。
| 働き方 | 勤務先の規模 | 健康保険・厚生年金の加入 |
|---|---|---|
| 正社員・フルタイム | 法人/強制適用事業所 | ◎ 原則加入(入社初日から) |
| パート等で正社員の3/4以上の勤務 | 規模問わず(法人等) | ◎ 原則加入 |
| 短時間(週20h以上・月8.8万円以上等を満たす) | 51人以上 | ◯ 加入対象 |
| 短時間(同上の条件を満たす) | 50人以下 | △ 原則対象外(任意適用なら加入可) |
| 週20h未満/月8.8万円未満/学生 など | 規模問わず | × 原則対象外 |
※労災保険は上記にかかわらず全労働者が対象。雇用保険は週20時間以上・31日以上の雇用見込みで対象になります。
表で「◎」「◯」に当てはまるのに「試用期間中は社会保険なし」と言われているなら、会社の運用が誤っている可能性が高いと言えます。
50人以下の企業でも、企業が任意に適用事業所になる任意適用事業所の制度があります。
所定の要件を満たせば短時間労働者を加入させることができるため、勤務先に確認してみる価値はあります。
試用期間の社会保険はいつから?保険証はいつもらえる?
「いつから保険料が引かれるの?」「保険証はいつ届くの?」
加入のタイミングは、手取りや病院通いに直結する疑問です。
原則として、社会保険の資格は試用期間かどうかにかかわらず、入社初日に発生します。
1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月の試用期間でも扱いは同じ
「試用期間が2ヶ月だから加入は後回し」「3ヶ月の試用期間が明けてから」
こうした説明を受けても、加入義務のタイミングは変わりません。
試用期間の長短は、加入時期に影響しないのが原則です。
契約期間が短いケースには注意が必要です。
2ヶ月を超える雇用見込みがある場合は、社会保険へ加入しなければなりません。
契約が2ヶ月以内でも、更新ルールが明示されている場合は加入が必要です。
つまり、「最初の契約が2ヶ月以内」でも、更新の見込みがある(=2ヶ月を超えて働く見込み)なら加入対象です。
保険証が届くまでの期間と、その間に病院にかかる方法
加入手続きをしても、保険証(またはマイナ保険証の利用情報・資格確認書)が手元で使えるようになるまでには時間差があります。
これが「保険証がまだもらえない」という不安の正体です。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合、保険証発行にかかる日数の目安は7日~10日です。
しかし入退社が多い4月などの繁忙期は審査に時間がかかり、発行までに1か月以上かかる場合もあります。
マイナ保険証を使う場合も資格取得手続き後、通常1週間から2週間程度かかることが多いです。
混雑状況によってはそれ以上の日数がかかる場合もあるとされています。
問題は、この“空白期間”に病院にかかりたいときです。対処法は主に2つあります。
- ◎ 健康保険被保険者資格証明書を発行してもらう
保険証の代わりに使える公的な証明書です。事業主または被保険者の申請に基づき、年金事務所の窓口で「健康保険 被保険者資格証明書」を交付してもらえます(有効期間は証明日から20日以内)。急な受診予定があるなら、これを申請するのが最もスムーズです。 - ◎ いったん全額を立て替え、あとで払い戻しを受ける
証明書が間に合わない場合は、窓口でいったん医療費を全額自己負担します。保険証がなくても病院の受診は可能です。後日、勤務先や保険者を通じて「療養費」を申請すれば、自己負担分(通常7割)が払い戻されます。
ここで大切なのは、「保険証が届いていない=未加入」ではないという点です。
手続きが進んでいれば、上記の証明書を出してもらえます。
逆に、会社に資格証明書の発行を頼んでも応じてもらえない・手続きそのものをしていない様子なら、それは未加入のサインかもしれません。
「試用期間中は社会保険なし」と言われたら違法?判断基準
会社の言い分は正しいのか、それとも違法なのでしょうか?
感情論ではなく、線引きの基準で冷静に判断しましょう。
結論として「加入条件を満たしているのに加入させていない」なら違法の可能性が高いです。
「そもそも加入条件を満たしていない」なら問題ない、という切り分けになります。
違法になるケース/問題のないケースの線引き
| あなたの状況 | 「社会保険なし」の評価 |
|---|---|
| 法人に正社員・フルタイムで入社、なのに未加入 | 違法の可能性が高い |
| 短時間労働だが加入5要件を満たす(51人以上の企業等)、なのに未加入 | 違法の可能性が高い |
| 週20時間未満・月8.8万円未満など条件を満たさない | 適法(そもそも対象外) |
| 勤務先が50人以下で短時間労働、4分の3未満 | 原則として対象外(適法) |
社会保険は本人が選んで入る任意の制度ではなく、条件を満たせば自動的に対象になる強制保険です。
社会保険適用事業所に所属している人は必ず加入しなければなりません。
強制保険なので、試用期間だからと言って除外されません。
「あなたは加入対象なのに『試用期間中はなし』と言われている」 場合、試用期間を口実にした未加入=法令違反の疑いがある状態です。
「3ヶ月目から加入」は違法?
「試用期間の3ヶ月が終わってから社会保険に入れる」という運用は、知恵袋でも頻出する相談です。
加入条件を満たしているなら、入社初日にさかのぼって加入すべきです。
「3ヶ月目から」は誤った運用である可能性が高いと考えられます。
前述のとおり加入義務は入社初日に発生します。
本来加入すべき期間を空けて「試用期間明けから」とするのは、義務を果たしていない状態にあたります。
ただし例外はあります。
最初から「2ヶ月以内の契約で更新の見込みもない」など、条件を満たさない働き方であれば、対象外となる場合もあります。
未加入は会社側にも重いリスク(遡及徴収・行政指導・罰則)
「会社が相手だと、こちらが我慢するしかないのでは」と感じるかもしれません。
しかし、未加入を放置することは会社にとっても大きなリスクです。
これは、あなたが会社に確認・交渉するときの“材料”になります。
- △ 保険料の遡及徴収
- △ 行政指導
- △ 罰則
「試用期間中は社会保険なし」は、従業員のあなただけでなく、会社自身が法的・経済的リスクを抱える状態でもあるのです。
この事実を知っておくと、「会社に確認するのは正当な行為だ」と自信を持って動けるはずです。
社会保険に入れてもらえないときの対処法【3ステップ】
加入対象なのに入れてもらえないときは3ステップで動くのが最も確実です。
いきなり会社と対立する必要はありません。
順番に冷静に進めれば、波風を最小限にしながら状況を改善できます。
ここでは、新人でも実行しやすい手順を解説します。
- ◎ STEP1:労働条件通知書で契約内容を書面確認する
- ◎ STEP2:年金事務所・労働基準監督署・労働局に相談する
- ◎ STEP3:証拠を残す/改善されない場合の選択肢(転職も視野)
STEP1:労働条件通知書で契約内容を書面確認する
最初にやるべきは、自分の労働条件を「書面」で確認することです。
口頭の説明だけでは、会社の運用が正しいか判断できません。
確認したいのは、入社時に渡される労働条件通知書(または雇用契約書)です。
- ✓ 所定労働時間・労働日数:週20時間以上か、正社員の4分の3以上か(=加入対象かの判定材料)
- ✓ 契約期間:2ヶ月以内か、更新の見込みの記載があるか
- ✓ 社会保険に関する記載:「加入」「適用」の有無がどう書かれているか
ここで自分が加入対象だと確認できたら、まずは会社に問い合わせましょう。
条件を満たしているのに未加入だった場合は、会社に確認して加入させてくれるよう要求します。
会社のミスで加入させていなかっただけなら、会社が加入手続きを取ってくれるはずです。
実際、未加入は単なる事務的なミスや認識不足であることも少なくありません。
「保険証の手続きについて確認したいのですが」といった聞き方なら、新人でも角を立てずに切り出せるはずです。
STEP2:年金事務所・労働基準監督署・労働局に相談する
会社に伝えても改善されない、あるいは聞きづらい場合は、公的な相談窓口を頼りましょう。
社会保険の未加入は、相談先によって守備範囲が異なります。
目的に応じて使い分けるのがポイントです。
| 相談先 | 主な守備範囲 | こんなときに |
|---|---|---|
| 年金事務所 | 健康保険・厚生年金の加入(適用) | 「加入対象なのに入れてもらえない」を直接相談したいとき |
| 総合労働相談コーナー(労働局) | 労働条件全般・あっせん | どこに相談すべきか整理したい・会社と話し合いの仲介がほしいとき |
| 労働基準監督署 | 労働基準法の取締り | 賃金未払いなど他の労働問題も同時にあるとき |
| 社会保険労務士 | 労務・社会保険の専門相談 | 個別事情をふまえて具体的に動きたいとき |
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入を管轄するのは年金事務所です。
年金手帳などを持参して年金事務所の相談窓口で確認するのが、直接的なルートになります。
実際、日本年金機構は社会保険未加入企業に対する強力な指導・取締りを行っています。
加入義務がある未加入の事業所へ、「厚生年金保険・健康保険の加入について」の文書を送付しています。
あなたの相談が、会社への加入指導につながることもあるのです。
一方、労働基準監督署は労働基準法の取締りが主で、性質が異なります。
労働基準監督署は労働法の啓盟・普及・取締りを主な業務とする厚生労働省管轄の行政機関です。
社会保険の加入は厳密には年金事務所の管轄です。しかし、賃金未払いなど他の問題も併発なら労基署も選択肢になります。
どこから相談すればいいかわからない場合は、労働局の総合労働相談コーナーが安心です。
会社との話し合いがこじれそうなときは、専門家に間に入ってもらう手もあります。
社会保険労務士は、労務管理や社会保険の専門家です。
各種相談対応だけでなく、会社との調停・あっせんでは依頼人の代理として交渉も行います。
個別の事情に踏み込む場合は、社労士への相談が心強い味方になります。
STEP3:証拠を残す/改善されない場合の選択肢(転職も視野)
相談と並行して、必ず「証拠」を残しておきましょう。
後から状況を客観的に示せると解決が早まります。
- ✓ 労働条件通知書・雇用契約書(写し)
- ✓ 実際の勤務時間がわかるもの(タイムカード、シフト表、勤怠アプリの記録など)
- ✓ 給与明細(社会保険料が引かれていないことの証明になる)
- ✓ 社会保険について会社とやりとりしたメール・チャットの履歴
年金事務所や社労士に相談する際もスムーズですし、万一の遡及加入でも自分を守る材料になります。
「相談しても会社が一向に対応しない」「うちはそういう方針だ」と是正を拒むような会社は注意です。
社会保険以外の面でもリスクを抱えている可能性が高いといえます。
法律で義務づけられた社会保険すら整えない職場で、無理に働き続ける必要はありません。
改善が見込めないと判断したら、より健全な労働環境への転職を視野に入れましょう。
転職エージェントを使えば、社会保険の整備状況や労働環境について、第三者の視点で確認しながら次の職場を探せます。
「我慢して残る」だけが選択肢ではありません。
試用期間中に社会保険が未加入だとどうなる?労働者のリスク
社会保険が未加入のままだと、医療費の全額負担、将来の年金の目減りといった、あなた自身に直接かかる不利益が生じます。
「会社が手続きをしないだけ」と軽く考えるのは危険です。
未加入があなたにもたらす具体的なリスクと、その間をしのぐ手続きを解説します。
病気・ケガ時の保障がない(医療費全額負担リスク)
未加入で最も身近なダメージは、医療費が全額自己負担になることです。
健康保険に加入していれば、医療費の窓口負担は原則3割で済みます。
しかし未加入だと、本来は保険でカバーされる残りの7割も自分で支払うことになります。
たとえば通常なら3,000円で済む診療が、1万円かかる計算です。急な入院や手術になれば、その差はさらに大きく膨らみます。
前章で触れたとおり、加入手続きが進んでいれば資格証明書や療養費の払い戻しで対応できます。
しかし「そもそも未加入」だと、この救済も受けられません。
健康なときは気にならなくても、いざというときに無防備になるのが未加入の怖さです。
年金の空白期間ができる
未加入のもう一つのリスクは、将来受け取る年金が目減りすることです。
厚生年金に加入していれば、その期間は将来の年金額に反映されます。
ところが未加入だと、その間は厚生年金の記録が積み上がりません。
試用期間の数ヶ月でも、こうした空白が積み重なれば、老後に受け取る年金額に影響します。
しかも、未加入が後から発覚した場合の精算は厄介です。
遡及適用が行われると、会社は過去に遡った期間分の社会保険料を納付しなければならず、会社負担分と従業員本人負担分の両方が発生する。
ここで大きな問題となるのが従業員本人負担分の徴収で、いきなり高額な支払いを求められると現実的に対応が難しいとされています。
つまり、放置すればするほど、後でまとめて自己負担分を請求されるリスクも高まるということです。
未加入期間を国民健康保険・国民年金で埋める手続き
会社の社会保険に加入できない期間があるなら、その空白は国民健康保険・国民年金で埋めるのが原則です。
日本は「国民皆保険・皆年金」の建前があり、どこかの公的保険に必ず加入している状態が正しい姿だからです。
具体的な対応は次のとおりです。
- 国民健康保険(国保):会社の健康保険に入れない期間は、市区町村の窓口で国保に加入します。これにより、その間も医療費の窓口負担を原則3割に抑えられます。
- 国民年金:厚生年金に加入できない期間は、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めます。これで年金の空白期間を防げます。
ただし、これはあくまで「本来は会社の社会保険に入れない場合」の話です。
加入条件を満たしているのに会社が手続きをしていないだけなら、まず正しく加入させてもらうのが先決です。
国保の保険料は全額自己負担になる一方、会社の社会保険なら保険料は労使折全額。
同じ保障でも、あなたの負担は会社の社会保険のほうが軽くなるからです。
「自分は本来どちらに入るべきなのか」を見極めることが、無駄な出費を防ぐ第一歩です。
判断に迷うときは、市区町村の国保窓口や年金事務所で相談すれば、自分のケースに応じた手続きを案内してもらえます。
社会保険なしはブラック企業のサイン?入社前の見極め方
加入義務があるのに社会保険なしの会社は、ブラック企業である可能性が高く入社前の見極めが重要です。
最低限のルールすら守らない会社は、残業代や休日など他の面でも問題を抱えていることが少なくないからです。
入社前にリスクを察知するためのチェックポイントを紹介します。
求人票・労働条件通知書のチェックポイント
入社前にまず確認すべきは、求人票と労働条件通知書の記載内容です。
とくに労働条件通知書は、会社が必ず交付しなければならない法定書類です。
労働条件通知書は、使用者が労働者に交付する義務がある法定書類です。
労働基準法第15条第1項および労働基準法施行規則第5条に基づき、雇用形態を問わずすべての労働者に対して交付しなければならないとされています。
- ✓ 社会保険・雇用保険の「加入」表記があるか:求人票の「加入保険」欄に健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の記載があるか。
- ✓ 労働条件通知書が交付されるか:そもそも書面が出てこない会社は要注意です。
- ✓ 試用期間の条件が本採用と違わないか:試用期間中だけ極端に不利な条件になっていないか。
- ✓ 2024年4月の新ルールに対応しているか:2024年4月から労働条件明示のルールが改正され、就業場所・業務の変更の範囲、更新上限の有無、無期転換申込機会など新たな明示事項が追加されたため、これらの記載がきちんとあるかも、会社のコンプライアンス意識を測る目安になります。
なお、これらの明示義務には罰則もあります。
明示事項に違反すると、労働基準法第120条に基づき30万円以下の罰金の対象となります。
そのため、書面交付を軽視する会社は法令順守の意識が低いと判断できます。
加入させない会社に共通する特徴
社会保険に加入させない会社には、いくつか共通する傾向があります。
当てはまる項目が多いほど、慎重な判断が必要です。
- △ 「試用期間中は社会保険なし」と当然のように説明する
- △ 「正社員なのに社会保険は入らない」など、雇用形態と保障がちぐはぐ
- △ 労働条件を書面でなく口頭だけで済ませようとする
- △ 質問すると「うちはずっとこうだから」と曖昧にはぐらかす
- △ 給与明細に社会保険料の控除項目がない(加入対象なのに)
社会保険の未加入は、しばしば他の労務問題と一緒に現れます。
「パートだから社会保険に入らなくてよい」という考えは誤りです。
加入義務は雇用形態の名称ではなく、労働時間や労働日数などの実態に基づいて判断されます。
これを軽視する会社は労働法全全般への意識が低い傾向があります。
求人で「社会保険完備」と書いていない、合わせても明言を避ける会社は、入社前に考えたほうがよいでしょう。
試用期間と社会保険のよくある5つの質問
最後に、知恵袋などで多く寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。気になる項目から確認してください。
正社員の4分の3以上働く場合は、規模を問わず原則加入となります。
また、4分の3未満であっても「51人以上の企業・週20時間以上・月8.8万円以上・2ヶ月超の見込み・学生でない」の5要件をすべて満たせば対象になります。
「パートだから社会保険に入らなくてよい」という考えは誤りで、雇用形態の名称ではなく労働時間や労働日数の実態で加入義務が判断されます。
「パートだから」を理由に断られている場合は、自分の勤務条件を確認してみましょう。
試用期間はあくまで会社が適性を見極める期間であり、社会保険の適用を除外する理由にはなりません。「正社員ではないから加入は後で」という説明は、原則として誤りです。
相談先は、健康保険・厚生年金の加入問題なら年金事務所が直接の窓口です。
どこに相談すべきか整理したい場合は労働局の総合労働相談コーナー。
個別事情に踏み込んで動きたい場合は社会保険労務士が頼りになります。
条件を満たしているのに未加入だった場合は、まず会社に加入を要求しましょう。
会社のミスなら手続きを取ってくれるはずなので、最初は会社への確認から始めるのが順序です。
社会保険は強制保険であり、従業員が加入を希望しなかったとしても、義務が免除されるわけではありません。
「入りたくない」という本人の希望で外すことはできない仕組みです。
どうしても加入したくない場合は、加入条件を下回る働き方を選ぶしかありませんが、保障も薄くなります。
契約が2ヶ月以内でも、その後も継続して働く見込みがあるなら加入対象です。
契約期間が2ヶ月以内であっても、雇用契約書等に契約が更新される旨が明示されている場合は社会保険に加入しなければなりません。
「試用期間2ヶ月だから社会保険なし」は、継続雇用が前提なら誤った運用の可能性があります。
まとめ:おかしいと感じたら早めに確認・相談を
試用期間中であっても、社会保険は原則として「加入義務」があります。
加入条件を満たしているのに「試用期間中はなし」と言われている場合は、違法の可能性が高いと考えてよいでしょう。
- ◎ 社会保険の加入義務は、試用期間かどうかに関係なく入社初日に発生する
- ◎ 正社員・フルタイムは原則すべて対象。パート等も5要件を満たせば加入対象
- ◎ 試用期間の長短(1〜3ヶ月)は加入時期に影響しない
- ◎ 保険証が届くまでは資格証明書や療養費の払い戻しで対応できる
- ◎ 未加入は、医療費全額負担・年金の空白というあなた自身の不利益につながる
社会保険は、あなたの生活と将来を守るための大切な仕組みです。
「新人だから」「波風を立てたくないから」と泣き寝入りする必要はありません。