【コラム】創立総会で原始定款の変更を行う場合

〇創立総会で原始定款の変更を行う場合は

 

事例

金属加工の株式会社を設立するため、私、妻、及び妻の父が発起人となって定款を作り、私の兄と姉が出資者となって株式を引き受けてくれることになりました。

(1) 妻の父が、所有する中古軽トラック1台を現物出資してくれることになり、これを100万円と評価して20株を割り当てる旨を定款に記載したのですが、調査の結果50万円の価値しかないことがわかりました。定款を変更することができるのでしょうか。

(2) 原始定款に定めた会社の目的に事業内容を追加したいのですが、可能でしょうか。定款を変更する場合の手続についても教えてください。

ポイント

実務解説

発起人が作成した原始定款は、創立総会の決議により変更することができますが、変態設立事項に関する定款の変更については後記のとおり注意が必要です。

創立総会とは

株式会社を募集設立する場合、発起人は、払込期日又は払込期間の末日以後遅滞なく、設立時株主の総会を招集しなければならず、この総会は設立総会と呼ばれています(会社65①)。創立総会では、発起人が設立手続の調査報告をし(会社87)、設立時取締役等の選任がなされます(会社88・90)。また、創立総会では、原始定款の承認を諮るのが通常ですが、決議により原始定款の変更をすることができます(会社96)。

変態設立事項に関わる原始定款変更

本事例の(1)のように、設立手続の過程で原始定款に定められた現物出資が不当であることが分かった場合、発起人は創立総会に報告します(会社87)。創立総会では、妻の父の現物出資の正当な評価額の50万円に対し10株で割り当てるよう、原始定款の変更をすべきです(会社96)。

それでは、本事例とは異なり、創立総会で新たな変態設立事項を付加したり、既存の事項を拡張したりすることはできるのでしょうか。最高裁昭和41年12月23日判決(判事474・45)は、変態設立事項に関わる厳重な規制は、会社資本の充実を期して会社債権者を保護し、併せて他の株主の利益保護を目的とするものであるから、創立総会の変更権は、原始定款記載の変態設立事項が不当な場合に、これを監督是正する立場から縮小又は削除するためにのみ行使されるべきで、付加・拡張できないとしています。

その他の事項

変態設立事項以外の定款の変更については、上記のような制限はなく、株式会社の本質、強行規定及び公序良俗に反してないかぎり、創立総会において自由に行うことができます。 本事例の(2)の事業内容は、創立総会の決議により原始定款に追加可能です。

定款変更の決議

設立時株主は、創立総会において、その引き受けた設立時発行株式1株につき1個の決議権を有します(会社72①)。創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行います(会社73①)。ただし、株式譲渡制限を定款に導入する決議は、設立時株主の半数以上で、当該設立時株主の議決権の3分の2以上の多数にて行わなければなりません(会社73②)。

 


原始定款はそれ自体を変更することはできず、特別決議で議事録を作成し、それらと原始定款を合わせたものが新しい定款となります。