【コラム】商号を定める場合の注意点

商号を定める場合の注意点は

 事例

ウェブデザインの会社を設立しようと考えています。会社の商号は、おぼえやすく、商売が繁盛するようなものにしたいと考えています。商号を定めるに当たって注意すべき点を教えてください。

ポイント

実務解説

会社は、その名称を商号とすることができます(会社6①)。旧商法における類似商号規制(同一市町村内において同一の営業のために同一の商号を登記することはできません。)は廃止されましたが、次のような一定の制限があります。商号にローマ字、アラビア数字、一定の符号(&等)を用いることも可能です。

会社の種類を明示

会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれの商号中に株式会社等の文字を用いなければならず、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはいけません(会社6②③)。これは、会社はその種類により組織や社員の責任が異なるため、商号に示された会社の種類に対する取引者等の信頼を保護するものです。

特別法による制限

会社のうち、銀行、無尽、信託など公共的事業を営む会社・機関にあっては、その商号中に、銀行等の文字を使用しなければなりません(銀行法6①、無尽業法4①、信託業法14①、長期信用銀行法5①、平18法65附則25①)。

また、保険業を営む会社は、その商号中に生命保険会社又は損害保険会社であることを示す文字として内閣府令で定めるものを使用しなければなりません(保険7①)。

なお、本事例のウェブデザインの会社は上記の特別法に該当しません。

不正の目的による商号使用の禁止

何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならないとされています(会社8①)。これは、商号を全く自由に定められるとすると、信用のある会社の商号を冒用して一般大衆を欺くなどのおそれがあり、それを防止するためです。この規定に違反した場合には、100万円以下の過料に処するとされています(会社978三)。

不正競争となる商号使用の禁止

需要者の間に広く認識されている商号に類似する商号を用いたり、そのような商号を用いて商品を販売したりする不正競争行為について、営業上の利益を害せられるおそれのある者は、不正競争行為の差止請求、損害賠償請求、信用回復措置請求をすることができます(不正競争2・3・4・14)。

商号使用差止めが認められた例として、「杏林ファルマ株式会社」(杏林製薬株式会社との類似。知財高判平19・6・28(平19(ネ)10014)裁判所ウェブサイト)や、「株式会社万屋薬品」(三重県内で周知されている万屋食品株式会社との類似。名古屋高判平8・12・19判タ955・258)などがあります。


意図せずとも類似の商号を登録してしまうと、その商号が使用できなくなり会社の信頼を落とすことにもなりかねません。認知度を高めるため商号登録をしても、いいイメージを持ってもらえないと意味がありませんね。登録の際は似たような商号がないかしっかりとチェックしましょう。