【コラム】-会社設立-休眠会社を利用して会社を設立する場合の注意点は?

〇休眠会社を利用して会社を設立する場合の注意点は

事例

勤務先の会社が赤字続きで、将来が不安です。どうせなら、趣味で長年続けてきた木工の技術を生かして、製造販売の小さな会社を経営できたらと考えるようになりました。知人から、会社を一から設立するのではなく、休眠会社を利用すれば手っ取り早いと聞きました。休眠会社とは何でしょうか。また、注意点を教えてください。

ポイント

実務解説

一般に休眠会社とは、登記上は存在するけれども、実際には事業活動を行っていない会社をいいます。なお、会社法は、登記が最後にあった日から12年を経過した株式会社を休眠会社と定義し、このような休眠会社が一定の要件を満たす場合には解散したものとみなすと定めており(会社472①)、これに基づき解散登記がなされることがあります。本事例で対象として考えられるのは、解散登記はなされておらず登記上は存在するけれども実際には事業活動を行っていない会社ということになります。このような休眠会社の利用については、リスクを分析し、会社を新設する場合に比べて買取りによるメリットが相当に大きい場合にのみ、自衛手段を講じたうえで実行すべきです。

 

休眠会社を買い取る動機

休眠会社を買い取って事業を継続しようと考える動機には、次のようなものが考えられます。

① 会社設立の手間と費用が省ける

② 大きな資本金の会社を安く買い取れる

③ 設立年月日をそのまま引き継げる

④ 営業免許等を引き継げる

 

注意すべき点

休眠会社を買い取る場合には、次のような点に注意が必要です。

① 買い取った休眠会社の商号や目的を変更登記する場合には手間と費用が必要です。

② 休眠会社の負債(簿外債務を含みます。)も引き継ぐことになります。

③ 融資を受けるのが難しい場合があります。

a 創業5年以内の会社を対象とするといった起業家向け融資は、休眠会社の設立年月日が古いために受けられません。

b 既存企業向け融資の場合は決算書2~3期分を揃える等の条件があり、決算書が揃えられないため受けられません。

c 倒産履歴がある場合などには融資が受けられないことがあります。

④ 登記懈怠による過料の可能性:買い取った休眠会社が会社法で義務づけられている登記を懈怠していた場合、新たに取締役となった者が過料に処せられる可能性があります(会社976一)。

 

それでも休眠会社を買い取る場合

リスクをなるべく小さくするため、少なくとも次のような手立てを講じることをお勧めします。

① 徹底した調査を行う:定款、登記事項証明書、過去の決算書、税務申告書、金銭消費貸借・リース・不動産賃貸借・業務委託等重要契約の契約書、納税証明書等を入手し、休眠会社の取締役等からのヒアリングなども行って、財務状況等を調査する必要があります。

② 株式等の譲渡契約の条項を工夫する:前オーナーが虚偽の報告をしていた場合は株式譲渡契約が無効となるとか、前オーナーが責任を負うといった条項を設けることも検討すべきです。

ただ、このような条項は前オーナーを拘束するに過ぎず、休眠会社の債権者から責任を追求する裁判などが提起された場合には、会社として応訴する必要があり、リスクを完全に排除することはできません。

 


負債を引き継いでしまう可能性もあり、リスクが高い休眠会社を利用しての起業。買い取りの際は上記手立てを参考によくよく検討したのち行動しましょう。