【コラム】有限責任組合とは

〇有限責任組合とは

 事例

組合において組合員は無限責任を負うと聞いていましたが、有限責任組合というのがあると聞きました。株式会社とはどこが違うのでしょうか。

実務解説

有限責任事業組合は法人格がなく、各組合員に権利義務が帰属しますが、各組合員が有限責任を負うにとどまる組合です。

 

有限責任事業組合とは

有限責任事業組合とは、「有限責任事業組合契約に関する法律」に定める組合です。

民法上の組合の組合員は、組合の債権者に対して直接無限責任を負いますが(民675参照)、有限責任事業組合の組合員の責任は、出資の価格をその限度とします(有限組合3①・15)。

そのため、債権者保護の観点から、各契約当事者の出資の履行を契約の効力発生要件とし(有限組合3①)、組合財産の分別管理義務(有限組合20)、組合員個人の債権者による組合財産に対する強制執行の制限(有限組合22)、財務諸表等の備置・閲覧(有限組合31)、財産分配の制限(有限組合34)など、民法上の組合と異なった規制がなされています。

 

有限責任事業組合と構成員課税

有限責任事業組合契約に関する法律が有限責任事業組合を設立できるようにした理由の1つは、パススルー課税(構成員課税)を実現するためです。

有限責任事業組合に法人税は課せられず、組合員個人の所得として所得税のみが課せられるのが原則です。

もっとも、事業損失のパススルーは、出資の価額を基礎として定められる一定額の範囲内でしか認められません(税特措27の2・67の13等)。

 

有限責任事業組合と株式会社の相違点

有限責任事業組合において組合員各人が権利義務の主体となりますが、株式会社は会社自体が権利義務の主体となります(会社3)。

また、有限責任事業組合は、組合員全員の参加する比較的短期的な事業に適した組織形態といえます。

(1)株式会社は1名で設立できます(会社326①)が、有限責任事業組合成立には2名以上の契約が必要です(有限組合3①)。

(2)有限責任事業組合は組合相互の契約なので、持分(株式)譲渡は不可能です(会社127参照)。

(3)株式会社では所有と経営の分離が可能ですが(会社331②本文)、有限責任事業組合では総組合員が業務執行権を有します(有限組合12.13)。

(4)株式会社から他の会社への組織変更は可能ですが(会社2二十六イ)、有限責任事業組合から会社への組織変更は不可能です。

 

 


 

株式会社と有限責任事業組合の大きな違いは、何を中心に作られた組織か。という点です。株式会社は「資金」、有限責任事業組合は「人」。それぞれに良い点があるかと思いますが、人を中心としている有限責任事業組合は、組合員全員が出資者でありルールの設定も自身でできる事から、柔軟な損益や権限の分配が可能になりそうですね。