【コラム】組合と法人の違いとは

組合と法人の違いとは

 

事例

Aはインターネットのソフトウェアを現物出資し、Bはこれを利用して得た情報を元に

顧客にプレゼンテーションを行うという労務を出資し、Cはその結果得た注文に対して商品を発送するという業務を行うとともに事業に関する銀行借入の保証人となることにしました。また、この事業にDは出資者として資金を出すものの、経営には当たらないことが予定されています。この場合、どのような企業形態がよいのでしょうか。

実務解説

Dが有限責任を望むのであれば合資会社が妥当であると思われます。

 

組合とは

組合とは、各当事者が出資をして共同の事業を営む契約形態です(民667①)。 このような民法上の組合のほか、組合員の責任が有限責任事業組合(有限組合3①・15)、匿名組合員が営業者のために出資して、その利益の分配を受ける契約形態である匿名組合(商535)もあります。

 

権利義務の帰属態様の違い

組合の場合は権利義務の主体は組合ではなく組合員各個人であるのに対して、会社の場合は権利義務の帰属主体は出資者や経営者個人ではなく会社自体です。

 

責任の所在

株式会社の株主や持分会社(合資会社・合同会社)の有限責任社員は、通常会社債権者に対して直接弁済の責任を負いません(会社104・580②・576④)。もっとも、持分会社の無限責任社員は会社債権者に対して直接無限責任を負う場合があります(会社580①)。

これに対して、組合員各人は債権者に対して直接無限責任を負い(民675参照)、組合員各自の財産をもって全額弁済の責任を負うのが原則です。

もっとも、有限責任事業組合の組合員の責任は有限責任にとどまりますし(有限組合3①・15)、匿名組合の組合員は営業者の行為に係る権利義務を負担しません(商536④)。

 

出資財産の限定の有無

組合においては、労務出資が認められています(民667②)。持分会社の無限責任社員にも、労務や信用による出資が認められています(会社576①六)。

これに対して、有限責任事業組合員、匿名組合員、持分会社の有限責任社員や株式会社の株主には労務や信用による出資が認められていません。(会社576①六)。

 

本事例の場合

Aは現物出資、Bは労務出資、Cは信用による出資、Dは現金出資をする本事例において、労務や信用による出資の認められない有限責任事業組合や匿名組合、株式会社や合同会社の形態を採ることはできません。

そして、Dが経営に当たらないような場合に、Dの責任を有限責任にとどめることを前提とするならば、定款でDを有限責任非業務執行社員とし、合資会社を設立するのが妥当と思われます。

 


有限責任の場合、出資した分の額までしか責任を負いませんが、無限責任の場合は損失がなくなるまで自己の資産を弁済に充てないといけない為、その部分をよく踏まえ企業形態を決める必要がありますね。