【コラム】職場でありがちなトラブル事例

 職場でありがちなトラブル事例

 

 身体障害の事実を申告しなかった 経歴詐称で懲戒解雇に?

 

 Aさんは、コンピュータソフトの営業職としてB社に勤務していました。

 しかし、入社3カ月後に懲罰委員会の決定という形で懲戒解雇を通告されました。

 理由は、Aさんが①内臓疾患で障害者認定を受けていたことを秘匿していたこと、②履歴書に職歴をすべて記載していなかったことです。

 一般論として、経歴詐称は懲戒解雇事由になり得ますが、身体上の障害はデリケートな個人情報です。

 Aさんは、残業の多い職場で仕事を続ける中、障害を理由として会社に迷惑をかけるようなことはありませんでした。

 このため、都道府県労働局長に会社の処分を撤回するよう助言・指導を求めたものです。

 

 ◆従業員の言い分

 入社時に提出した健康診断書には、疾患で手術を受けたという事実は記載してありました。

 会社が障害者であることを問題視し始めた後、主治医に頼んで「仕事に支障がない」旨の診断書も提出しています。

 履歴書に記載していない会社があったのは、何度も転職を重ねていると採用に不利だと考えたからです。

 「身体に障害があると営業は務まらない」という固定観念に基づき、問答無用の解雇は納得できません。懲戒処分の取消しを要求します。

 

 ◆事業主の言い分

 フットワークが必要な営業職採用に際しては、他の職種にも増して「健康」が重要な要素になります。

 身体的な問題だけではなく、顧客からの信頼が大切なので、経歴を詐称するような性格の人間は、営業として不適格と判断しました。

 職歴を記載しなかった点については、「この期間に何か大きなトラブルがあったのではないか」いう疑いを抱いていますが、

 本人が理由を話すのを拒否するので、会社としても温情を与える余地がありません。

 就業規則の「重要な経歴を偽り入社した」という懲戒解雇事由に該当するので、今でも会社として落ち度はなかったと考えています。

 

 ◆指導・助言の内容

 B社は、身体・性格ともに営業に適さないと主張しますが、他の健常者と同様に支障なく業務を遂行し、

 取引先とのトラブルもなかったことが判明しています。

 経歴詐称により、企業秩序に混乱をもたらした事実もなく、懲戒解雇には合理性が認められないため、処分を撤回するように助言・指導しました。

 

 ◆結果

 両者が話し合った結果、Aさんは他の就職先を見つけたため、職場復帰ではなく補償金の支払いという条件で和解に至りました。

 


個人情報をどこまで伝えるべきか。答えが無い問題でもあり、信頼関係が無ければ伝えにくいこともあると思います。

今回のケースでは、疾患に関して手術をした事は報告済みであり事業主側も承知の上だったと感じます。

入社3ヶ月ということで、もう少し双方で話し合いを重ねていればここまでの問題にはならなかったようにも感じます。