【コラム】職場でのトラブル事例

◆ 失業給付を受けられない!! 会社が雇保の加入手続き失念

 

 退職届の提出を考える従業員は、当然のことながら「退職金がいくら、雇用保険がいくらだから…」とそろばんを弾きます。

 ところが、本事件の従業員は、まったく当てが外れてしまいました。会社が雇用保険の手続きを取っていなかったのです。

 「受け取れたはずの保険金」の保証という興味深い問題について、都道府県労働局のあっせんの場では、どのような判断が下されたのでしょうか。

 

従業員の言い分

 会社のずさんな事務処理のおかげで、本来なら180日分の失業給付(基本手当)を受けることができたはずなのに、90日分に減ってしまいました。そればかりでなく、教育訓練給付制度も利用できないことが判明しました。

 ハローワークにも相談しましたが、時効が経過した分は訴求処理できないという回答です。

 「受け取れたはずの給付額」との差額40万円および教育訓練給付の限度額30万円(紛争当時の上限)を合わせた70万円の弁済をもとめます。

 

事業主の言い分

 本人が入社した際、再三、関係書類の提出を促しましたが、放置されたままとなっていました。後で書類なしでも対応可能という話を聞き、その時点で遅まきながら加入手続きを済ませました。

 早めにハローワークに相談していればトラブルは回避できたわけで、「後悔先に立たず」です。その点では、当社担当者の対応にも至らない点があったと認識しています。

 

指導・助言の内容

 本人が書類の提出を怠っていたことも原因ですが、会社側の落ち度も小さくありません。

 和解金による解決という方向で両者の同意を得たうえで、以下の案を提示しました。

・基本手当に関しては、差額相当の40万円から本人の過失相殺分5万円を差し引いた額を支払う。

・教育訓練給付については、指定講座を受講した場合のみ補填される性格である点を踏まえ、補償の対象としない。

結果

 会社が従業員に対して35万円を支払うことで合意が成立し、その旨を記載した和解文書が作成されました。

 


入社時の契約書類等を後回しにしては今回の事例のように手遅れになってしまいます。

後々のトラブルを回避するには、今回問題になった雇用保険だけでなく、契約に関しては双方ともに

慎重に手続きする必要があり、また契約内容の把握も大切ですね。