【コラム】焼肉店⑩ -財務諸表の見方(後編)-

昨日からの続きになります。

(3) 安全性

 短期の安全性(資金操り)については、当座比率、流動比率で評価する。流動比率より当座比率のほうがさらに短期の安全性を示す。どちらの指数も数値が多大きいほど安全性が高く、当座比率は100%以上、流動比率は130%以上であることが望ましい。

 長期の安全性(資本の安定性)は自己資本比率で評価する。自己資本比率は貸借対照表上の総資産に占める資本の割合を示すので、自己資本比率が高いほど借入金に依存せず、安定した資本バランスであるといえる。焼肉店の経営指標は、(図表4、5)のとおりである。

 焼肉店の売上高経常利益率は3%台で上昇傾向にあるものの、低迷している。売上総利益率は60%弱で推移しているが、人手不足による販売費・一般管理費が上昇しており、売上高営業利益率を圧迫している。

 販売費・一般管理費の主な内訳は、①従業員の人件費、②店舗設備の減価償却費、③店舗の設備・消耗品費、④水道光熱費、⑤フランチャイズ本部へのロイヤリティである。焼肉店は設備費が多めにかかる傾向にあり、店舗設備の減価償却費は高めになりやすい。

 収益性改善の方策としては、パートやアルバイトの効率的な配置を行う一方、十分な従業員教育を実施し、サービスの低下を防止することで、人件費率の引下げにつなげる。また、平日と休日の来客数に大きな差がみられる店舗では、平日にサービス価格での販売を実施し、来客数を増加させる。あるいは、ランチ需要の見込める立地であれば、ランチサービスを実施することにより、来客席回転数を向上させる。以上のような取組みにより、売上高の増加を図るべきである。

 

 

図4 焼肉店の貸借対照表・損益計算表(黒字企業平均)

 

図5 焼肉店の経営指標分析(黒字企業平均)

 

(4) 営業力・人材面等、係数データ以外の見方

 大手チェーン店の経営状況はある程度、本部の管理下に置かれているものの、個人店では、①決算書に家計経費を計上する、②売上高を意図的に削除する等で、比較的容易に粉飾決算も行いやすいことも意識しておきたい。粉飾の見抜き方としては、決算ごとに経営指標分析を行い、大きく変化した指標があればそれを追求するなどの方法がある。


次回はキャッシュフロー分析です。